ポケットに入れたチョコレイトは体温で溶けてしまった




わがまま姫の願い事
小さく、確実に、刻むように
走り続けた黄昏時
未来の道標
対面にはまだ早い

降り積もる時間の結晶
向こう岸で咲 いた花
思い通りの結末
生まれてから終わりに向かうあなたへ
明け方の空を見たかい?

タコとイカの同窓会
机の中の戦争
嗤い猫の眼
いつか痛みすらわからなくなるから
涙を流す星

蛙の行進
ちぎれた約束
さようならの言の葉
ブルーブルースカイ
黎明が来て

交差点の真ん中
海辺の果てに
紫陽花の影で泣いた
日常にはみ出した
虹達の会談

凄惨なる反撃
手の中の思い出
一粒の飴玉
息の仕方を知らない赤子のように
カタカナ鳥

差し出されたサロメの首
最後の夜に
懐古主義のガラクタ
風見鶏の後を追って
海神(わだつみ)の住み水底


月のない夜に
貫いた心の臓
伝えられない愛情
玉手箱の最後
トリガラの羽

思い出日和
一欠けらの勇気を
終わらない雨
朝が来ない
泥の中に咲いた花 のように

かぐや姫の忘れ物
鍵のない宝箱
境界線は交わらない
最後に耳を塞いで
空に消える

その青さに負けて
空と大地と雲の間
僕達の夏休み
夢の中の伝言
勝敗のつかない戦い

向日葵畑の影
知らない街で
指先の温度
シーソーゲーム
横顔を見ています

狭間の旅人
終末の鐘の音
雨漏りの森
悪魔のような貴方と
無色の太陽

目覚めのない朝
身勝手な恋
残された断片
迷子札をしたお巡りさん
宇宙人と交信中

夜の神様の言うことには
無音の楽器
負けた人へ
風景画の夢
蛍の灯火

引き金を引いて
墓標の番人
碁盤に浮かぶ白い石
零れ落ちたもの
最後の写真

明け方の夜に身投げ
爪痕の背中
迷わないということは
月の殉教者
ひび割れた青空

塗りつぶした赤
花壇に咲いた青い薔薇
おもちゃの兵隊達の行進
滑らかな失墜
ドライヴィング・スター

血潮に浮かんだ爪
ウリ坊のワルツ
てのひらは語る
無機質な恋人
狼煙は上がった

十三夜
スノードロップに願い事
隣の目隠し鬼
断首台のニワトリ達
すべてを掴んだ手